台東区の税理士の坂本です。そろそろ確定申告の準備の時期ですね。今回のネタは、その確定申告には全く関係のない印紙税についてです。個別の発注を発注書・発注請書で運用するケースと個別契約書で運用するケースがあると思いますが、いずれの場合においても、収入印紙が必要となる前提ですが、どのような場合に印紙が必要になるのでしょうか。答えは、課税文書に該当するかどうかで判断されています。では、課税文書とは、どういったものになるのでしょうか。

課税文書の要件
(1) 課税事項の記載があること
(2) 当事者間で課税事項を証明する目的で作成された文書であること
(3) 非課税文書に該当しないこと

根拠法令等
印紙法第2条
 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書には、この法律により、印紙税を課する。
印紙税法基本通達第2条(課税文書の意義)
 法に規定する「課税文書」とは、課税物件表の課税物件欄に掲げる文書により証されるべき事項(以下、「課税事項」という。)が記載され、かつ、当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書のうち、法第5条《非課税文書》の規定により印紙税を課さないこととされる文書以外の文書をいう。

 ただし、これは税法上印紙が必要と言う問題で、契約自体は印紙が無くとも無効とはなりません。ところで、PDFやFAXなどでの送受信した場合には、印紙税が掛らないのをご存じでしょうか。何故そうなるかですが、印紙税は対象文書を「作成」したときに掛かるものです。この「作成」というのは単に文書を作ったこと(調製)を意味するのではなく、作った上で相手に交付するなどしたことを指していますから、PDFやFAXの場合にはこの「作成」に該当しないのです。
 国税庁のHPに注文請書をPDFファイルに変換してメール送信した場合は、課税文書を作成したことにはならないものと解して差し支えないかという照会に対する回答が掲載されています。その中で、「電子メールで送信したとしても、ファクシミリ通信により送信したものと同様に、課税文書を作成したことにはならない」としています。注文請書の現物を相手に交付しない限りは、課税文書を作成したことにならず、印紙税が課税されることはないのです。